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「音を出して食べる」シンポジウム案

  • 執筆者の写真: Hisa
    Hisa
  • 2024年8月5日
  • 読了時間: 5分

海外で生活をすると突然日本食が恋しくなるタイミングが必ずある。ラーメンのあの胡椒の利いた汁が、ほかほかのご飯の上にかつぶしと醤油をかけてかき込むあの瞬間が、あっつい煎茶をあついまま飲むあのひと時が…恋しくなるのだ。とは言えよほどの辺境でない限り、どの都市にもアジアン食材店は存在するので、たとえ日本語のおかしいMade in China出会っても楽しめないことはない。私はいつもカップラーメンを買って食べる。


さて買ってきたら、お湯を沸かして待ち、そして注ぎ、3分という短くも長いひとときをじっと待つ。そして蓋を開けるともわっという湯気とともに匂いが広がる。さてここで問題となるのが、「すするか」「すすらないか」という問題である。日本人というアイデンティティに生まれたのならラーメンをすすることは、ほとんど必須と言っても良い。いや事実絶対に必須なのだ。しかし欧州圏では音を立てて食べることは、悪魔に命を捧げるほどの重罪である。さてどうするべきなのか?


このような問題は日本人だけに止まるような生易しいものではない。日本人と共に生活をするイギリス人、日本人の本質を理解しようとする中国人、日本語を学ぼうとするオーストラリア人、日本での生活を試みるモザンビーク人、日本料理の店を開こうとするブラジル人。その広がりは国境を越える。この問題に対する理解を広範囲に知らせるため、開かれるのが「音を出して食べる」シンポジウム。「音を出して食べる」シンポジウムは先ほど、この文章の執筆者がよく海外のスーパーに売っている、1$ぐらいで買えるあんまり上手くない袋麺を食べながら発案され、近年中に開催される予定である。今回この場をお借りして、日本人の「すする」という行為に代表されるような音を立てながら食べる行為について、多くの考察と実験、その結果を踏まえながら日本料理のあるべき未来を考え、それらを今後の日本を超えた平和へと繋げていく試みである。


音を立てて食べるという行為は必ずしも、食べ物と口の相互作用で生まれるものだけがその判定に引っかかるということではない。そのヴァリエーションは多岐にわたることから以下のような基準で、精巧な研究の結果のその前まで便宜的に儲けることにした次第である。しかし便宜とはいえ、日本食の本質を大きく捉えているため、されど重要な点である。


「食べる」

これは食べ物を食べる前に発する音のことである。特に食べ物が運ばれてくる間の、待ち遠しさを表現する場合が多い。時間の変化した次の段階との境目は「いただきます」という布石によって明確に区切られる。またその言葉は言葉通り文字として表されるもので、音を出して食べる時の文字では直接表すことのできない音とは異なる意味合いを持つ。そしてこの言葉は過去、現在、未来といった時間の広がりを超えて感謝をする言葉でもある。


「食べている」

これはこのシンポジウムの根幹をなす音である、食べている最中その時の音である。この場合2つの目的が考えられる。1つに食べているものがおいしいものだという事実を、味覚と視覚、嗅覚ではなく聴覚を持って自身に伝えようとする試みである。これは意図的に自身に示しているというよりは、無意識的に日本人の間で広まってきた習慣である。果たして日本人はその仕組みを知らずして実践していたのか、はたまたこれは「発明品」なのか。詳細な研究が望まれる。2つに食べているもののおいしさを、作り手に伝達するという目的。


「食べた」

これは食べ物を食べ終わった後の音である。既に過ぎた前の段階との境目は「ごちそうさま」という言葉によって区切られる。食べた後に「クッタクッタ」という言葉を発する場合も多く、これは自分が食べたという行為を終え、十分に摂取したことに対する再確認と再強調を示している。


これらの時間的な変化をシンポジウムのベースにしながら、その各部分に関連する研究を研究者自身によって発表していく。特に発表が望まれる研究は以下のようなものである。


「落語のすするの起源と、日本食の生成の歴史」

「果たしてすすると人は美味しく感じるのか」

「なぜ欧州では静かに食べることが好まれるのか」

「いただきます/ごちそうさまを言ったグループと言わなかったグループとの裕福度の関係」

「海外生まれ日本人は音を出して食べるのか」

「すすりたくなるラーメンとならないラーメンの違い」

「すすり泣きと食べ物は美味しく感じるのか」

「食事中の発生音の分類法について」


まあ研究内容は文明がここまで住んでいたら勝手に集まるので、上記の内容は杞憂に近い。できれば真面目な内容に、ふざけたようなものも入れると温まる。


そして「音をたてて食べる」シンポジウムではその教義をわかりやすくするため、料理をし音を立てながら食べてもらう。ただ初めての行為に戸惑い、失神する可能性も高いため、初めに公の場で実践をしてもらう。それも日本料理の完成されたバージョンを見せるのでは、料理という流れるような美しいプロセスを、何を血迷ったか省くことになるので、それらの工程まで全てを見せる。アイデアとして壇上の上で講演をしながら、職人に公開で料理をしてもらうような形で提供したい。料理をする傍ら、真面目に(内容はふざけているかもだけど)講演をする。


そして締めにバイキング形式でバクバク食って終わりである。そこで出す料理はもれなく音を限りなく大きく出せる食べ物、ラーメンはもちろんこと、卵かけご飯、ビール(Asahiがいいな、未成年には「あわだちのみもの」渡そうか)、チャーハンなどを出そうか。


近年開催予定なのでぜひ広告や口コミで見たり聞いたりしたらきてくれると嬉しいです。


終わり

 
 
 

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