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真・リスペクト

  • 執筆者の写真: Tak Yama
    Tak Yama
  • 2024年3月28日
  • 読了時間: 4分

 皆さんの「尊敬する人」はだれだろうか。どこかの有名人であったり、偉人であったり、親などの親族を挙げる方もいるだろう。では、あなたは"その人"のどのような部分を尊敬しているのだろうか。これもまた十人十色な回答が得られるであろう。ただ、それはきっと「言動」であったり「考え方」であったり「性格」であったり、きっと内面的なところが思いつくのだろう。例えば外見であっても、「自分磨き」や「努力を怠らないところ」なども総合的に見て尊敬しているのではなかろうか。

 これ自体は至極まっとうなことであるし、むしろ「尊敬する人」を「自分の目標となる人」として自らの内面的な部分を鑑みるようにしていれば、「尊敬する人」がする「よい行動」を自分もするようになり、自分の内面も磨かれていくというポジティブな効果が得られる。「尊敬する人」は自分の足りない部分を持っていて、輝いている人間なのだから、そこを成長させるためのお手本となるべき"その人"が自分の中にあるのなら、あとは行動するのみである(そこが一番難しく、理想のみになりがちなのであるが)。


 話は変わるようで変わらないのだが、皆さんの「推し」は誰だろうか。これまたどこかの有名人であったり、もしくは偉人であったり、クラスメートや先輩などの身近な人間を挙げる人もいるのではないだろうか。ではその人たちの「推しポイント」はどこだろう。見た目であったり才能であったり、これは内面やら外面やら関係なく、人それぞれの点を挙げるだろうし、もしかしたら「存在自体」などといったすべて包括して推すような方法もある。


 ここで、「尊敬する人」と「推し」を思い浮かべた時の違いを考えてほしい。「尊敬するポイント」と「推しポイント」の違いは前述したとおりであるとして、例えば人数であったり、思いつきやすさに違いがあったのではないだろうか。勝手に予測するなら、「推し」のほうが思いつきやすい、沢山思い浮かぶのではないだろうか。もしくは、尊敬する人は誰?と聞かれた時より推しは誰?と聞かれた時のほうが答えやすいと思う。

 推し、という言葉とは言うなれば"イージー"な言葉であり、さまざまな意味を包含する言葉であるのだ。それ故に、愛してやまないけども何か障壁があって近づけない人間も、なんとなく聴く音楽のアーティストも総じて"推し"と呼ぶことができる。何とも便利に、場合によっては格上げ、格下げ、もしくは本来の熱狂度をそれとなくカモフラージュできてしまう。

 そんな便利な言葉が誕生してしまったがために、実は尊敬に対するとらえ方にもちょっとした、しかし場合によっては非常に危うい変化が生じているように私は感じている。それはすなわち、尊敬している人間が目標には成り得ないものになりつつあるということだ。少し表現がややこしいので、しっかりと説明しよう。


 尊敬の意味を検索すると、


"他人の人格や行為を高いものと認め、頭を下げるような、また、ついて行きたいような気持になること。うやまうこと。"


とある。つまり、辞書が作られた時の尊敬とは、その人の善やそれに準じた行動を評価し、自分もそれをマネしたくなるような、目標にしたくなるような人間への感情であるのだ。

 それが、「推し」に好意という意味で取り込まれてしまったがために、「推し」という言葉が持つその「遠目で応援したい」というような感情や「遠くにいる尊い方」というようなニュアンスと中和され、ごちゃごちゃになった末に、「尊敬」の持つ「自分の行動の是正」や「マネしようと思える恰好の良さ」といったような部分が薄れ、結果として「「尊敬する人」はすごい人で、自分とは別世界なのだから、私には到底マネできない、すごい人」のような解釈になってしまい、自分の行動を顧みる機会が消失してしまったのだ。

 これだけ聞くと、別にそれほど大きい問題でないように見えるが、自分の行動を顧みないですごい人にすごいと言うだけになるのは、言い換えれば諦めであるし、成長の放棄であるのだ。何をそんな大げさにと言われても、実際過去を生きてきた人間たちは先人の背中を見て人格を得、より良いほうへと励み、また次の世代が成長できるように背中で語ってきたのだ。それが「すごい人」で完結してしまっては、先人が築いてきたその知恵は、果たしてどこに行くのだろう。それなしで世界を回せるほど私たちがスマホから手に入れたニュースやら偉人の格言やら政治家の不祥事は有用なのだろうか。せっかく彼らが見せてくれる生きるカタチを、ただ美しいというのは、あまりに。


先生から勉強を学ぶこととは別に、先人から学ぶ何かを、尊敬する人から探してみてはいかがだろうか。そして、どのようにそんな恰好よくなれるものかと、一歩ずつ考えてみると新たな学びが得られるかもしれない。

 
 
 

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